イオン液体とは
イオン液体は、幅広い温度範囲で液体として存在する塩であり、イオンのみからなる液体です。一般に100℃以下の融点を有する塩がイオン液体(IL:ionic liquid)と定義されていますが、室温付近に融点を有するイオン液体 “room temperature IL(RTIL)” が研究の中心となっています。
イオン液体の特徴
- 蒸気圧が低い
- 液体として存在する温度範囲が広い
- 難燃性である
- 熱安定性・電気化学的安定性が高い
- 電気伝導性が高い
- ある種の物質をよく溶かす

イオン液体カタログ(1.5 MB PDF)
他の化学物質にはない独自の興味深い性質を持つため、イオン液体はこの20年ほどの間に様々な分野で活発に研究され、すでに実用化されている技術および今後期待されるアプリケーションは非常に多岐にわたっています。イオン液体を構成する代表的なカチオンとアニオンの例を下記に示しました。一般に、水や有機溶媒との混和性は、カチオン種の側鎖長とアニオン種に依存することが知られています。
カチオンとアニオンの構造や組合せにより自由に分子を設計することができ、目的により様々な物性を付与できることも、イオン液体の特徴の一つです。しかし、イオン液体の各物性と構造との相関は解明されていない部分も多く、応用研究・用途開発を加速するためにも、さらに基礎的な研究の充実が望まれています。
アルドリッチでは、アンモニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、スルホニウム系をはじめとする各種イオン液体を250物質以上扱っています。

イオン液体の代表的なカチオンとアニオンの例
イオン液体のアプリケーション
化学合成 |
機能性材料 |
バイオリファイナリー |
バイオテクノロジー |
無機合成・薄膜 |
---|
|
|
|
- 酵素反応
- ドラッグデリバリー
- タンパク質リフォールディング
|
|
機能性流体・添加剤 |
電解質 |
分離・精製 |
分析 |
|
---|
- 潤滑剤
- イオンコンプレッサー
- 燃料添加剤
- 帯電防止剤
- 熱流体
|
- 燃料電池
- スーパーキャパシタ
- 色素増感太陽電池
- 金属表面処理
|
- ガス分離
- 抽出、抽出蒸留
- 分離膜
- 重金属抽出
- 放射性廃棄物処理
|
- MALDI-TOF マトリクス
- GC, LC, SCFC 固定相
- LC 移動相
- GC ヘッドスペース溶媒
|
|
イオン液体カタログ・Spotlight記事のバックナンバー